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例会報告2016.05.27 交流分析 エゴグラム 

大阪吃音教室 例会報告
2016.05.27(金)「自分の心の動きを知る ~交流分析1~」

 私たちは日々の生活の中でたくさんの人と意思の疎通をはかり、情報のやりとりをして交流をしている。しかし、どもる人であろうとなかろうと人間関係に悩み、生きづらさを感じる人は少なくないようだ。
 人間関係をうまくいくようにするには相手への理解が必要だが、そのためにはまず自分を知る必要がある。この例会では交流分析エゴグラムを使い、「自分のなかの私(自我状態)」に“気づく”ことを通して、よりよく生きるためにはどうすればいいかを考えた。

〇 交流分析とは
 交流分析とは、1950年代半ばにアメリカの精神科医エリック・バーンによって提唱された、人の心と行動を快適にする心理学。
 「過去と他人は変えられない」「自らが自らの行動を選択し、実行する」「人はみなOKである」といった概念や考え方がある。

〇 自我状態とは
 「人はみな自分のなかに3つの私をもっている」という交流分析の基本的な考えがあり、これを自我状態と呼ぶ。それぞれの私(P・A・C)には、感情、思考、行動に特徴がある。
親 ペアレント(Parent)
 両親または養育者の考え方、行動に影響を受けて育った自我状態
大人 アダルト(Adult)
 事実に基づいて冷静に物事を判断するコンピュータのような自我状態
子供 チャイルド(Child)
 幼い頃の体験やもって生まれたままの本能や感情をもった自我状態

 これは更に CP/NP/A/FC/AC の5つに分けられる。

〇 それぞれの自我状態の特徴
CP 批判的な親の自我状態(厳しい私)
 良心的で厳しい心をもち、事実にそぐわなくても自らの信念に従って行動する。
 責任感が強く規律や規則を大切にするが、その反面、不正を許せず支配的な口調になったり非難したりする。
[良い面]正義感が強い。規則を守る。道徳的。主体性がある。責任感が強い。秩序を作る。リーダーシップがある。伝統を守る。信念をもっている。
[悪い面]厳しすぎる。融通が利かない。ユーモアに欠ける。偉そう。威圧的。頑固。ワンマン。保守的。支配的。批判的。

NP 保護的な親の自我状態(優しい私)
 養育的でやさしい心をもち、誰かの世話をしたり、なぐさめや寛容さをもつ。
 しかし、強すぎると過保護やおせっかいにつながる。
[良い面]世話好き。優しい。肯定的。穏やか。援助する。寛容的。愛情にあふれている。包容力がある。共感的。励ます。
[悪い面]お節介。過干渉。甘やかす。過保護。成長を妨げる。

大人の自我状態(冷静な私)
 理性的で冷静な心をもち、感情にとらわれず事実に基づいて状況を判断して、合理的な行動をする。
 強すぎると、コンピュータのように人間味に欠けるおそれがある。また、必ずしも精神的に成熟した人間像を意味しているわけではない。
[良い面]冷静沈着。効率的。感情に流されない。現実的。計画的。客観的。分析する。合理的。理性的。情報を集める。
[悪い面]感情に乏しい。冷淡。人間味がない。打算的。面白みがない。計算高い。冷たい感じ。

FC 自由な子供の自我状態(のびのびした私)
 行動的でのびのびした心をもち、自分の感情や要求を自由に表現したり行動したりする。
 よく遊びよく笑い、好奇心に満ち積極的。しかし強すぎるとわがままな面がでたり、自らにブレーキをかけることができず他人への配慮に欠けたりする。
[良い面]自由奔放。独創性。積極性。好奇心が強い。創造性。活力がある。天真爛漫。直観力。明るい。物怖じしない。
[悪い面]自分勝手。わがまま。感情的になりやすい。ルーズ。本能的。協調性がない。自己中心的。空気を読まない。

AC 順応した子供の自我状態(人に合わせる私)
 人に合わせる消極的な心をもち、対人関係をスムーズに営む技術をもっている。
 その反面、本当の気持ちを抑えたり、他人の目を気にしてイエスマン的な行動をする。成長の過程において両親の要求があったときに、その愛情を失わないために用いた行動が影響する。
[良い面]従順。聞き分けがよい。我慢強い。慎重。他人の期待に添う努力。人に合わせる妥協。控えめ。協調性がある。真面目。
[悪い面]活力がない。消極的。自主性に欠ける。劣等感が強い。自信がない。依存的。空気を読みすぎる。媚びる。ひねくれる。時には反抗する。

〇 エゴグラムとは
 チェックリストを使って CP/NP/A/FC/AC 5つの自我状態を数値化したもの。自分の行動パターンがグラフとして表される。
 対人関係や刺激に対して5つの中でどの自我状態が最も反応しやすいのか、主導権を握っているのか調べることができる。自分の特徴や心の偏りを映す鏡であり、分析することにより自分を客観的にみることが可能である。




by osp_blog | 2016-05-27 00:00 | 例会報告

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