2020年 10月 02日
例会報告2020.10.02 どもって声が出ない時の7つの方法
2020.10.02(金)「どもって声が出ない時の7つの方法」
〇 どもって声が出ないとき、どんな対処をしているか
どもる人は、電話、発表、報告、連絡などの日常の場面でどもって声がでないとき、どんな対処をしているか。参加者が実際に行なっている対処法を分かち合った。7つ以上の対処法が出てきた。
(1) 第一音を軽く、母音を伸ばしながらゆっくり話す。
(2) 言い換え、語順を変える。
(3) え~、その~、あの~など連係語を前に付けて話す。
(4) アクション、ジェスチャーなど動作で補う。
(5) 手を振る、指を折る、足を踏む、メモを取りながら話す。
(6) 出るまで沈黙に耐えて待つ。
(7) 話すのを一旦やめ、息を吐き切ってからあらためて話す。
(8) 音を重ね、軽い連発でどもりながら話す。
(9) 吃音を公表する。「どもりますので、少しお待ちください」
(10) 間を取る。深呼吸。
〇 伝統的な対処療法をたどる
どもって声が出ない時の対処法のベースは、伝統的な吃音を治すための抑制法(どもらない話し方)や随意吃などの表出法である。治療の歴史をたどることでそれらの問題点を明らかにし、「なぜ、現在の吃音と上手につき合う」なのかを考えた。
(1)抑制法
伝統的な治療法のほとんどは、いかに吃音を抑えるかを目的とした。
a.注意転換法(ディストラクション法)
b.暗示法
c.弛緩法(リラクゼーション法)
その他 発声練習、腹式呼吸法など
(2)修正技法(アイオワ学派)
吃音の中心的問題は、どもることへの恐れである。アイオワ学派はどもってでも話すことをすすめ、吃音をオープンにすることによってその恐れを減らそうとした。抑制法と対比し、表出法ともいわれた。
a.ブリンゲルソンの随意吃
b.ジョンソンの知覚と評価の再学習
c.ヴァン・ライパーの流暢な吃音
d.バリー・ギター流暢性促進スキル(最新の吃音治療)
〇 吃音と上手につき合うとは?
そもそも吃音と上手につき合うとはどういうことか、参加者で話し合った。
・「上手につき合う」は、吃音に余り影響を受けないこと。
・「いつでもどもっていいし、どもらなくてもいい」と思っている。それは、「どもるかどうかを自分で決めていい」ということ。
・大阪言友会の頃には「吃音受容」を唱えていたが、「吃音を受け容れること」は難しかった。「自分がどもる」ということを、認めるだけでいい。吃音を治そうとするのは、自分の吃音を否定していることなので、それをやめればいい。
・「どもる自分を好きになる」こと。
・どもっている自分を、周囲に認めてもらうこと。
・「吃音を笑いに変える」というのもありでは。
〇 吃音と上手につき合うのに役立った体験
吃音と上手につき合うのに「こういう考えが役立った」「こういう体験が良かった」というものを話し合った。
・大阪吃音教室に来て吃音親子サマーキャンプに参加したことが一番大きい。
・吃音の仲間と出会うことで向き合うことができる。
・どもりながら仕事して、仕事に携わる人間の一人として認めてもらったことが大きい。
・会社の朝礼で報告が順番に回って来たりすると、吃音のことは公表しているので、最近は敢えて長めに間を空けたりする。遊び心で。
・吃音をカミングアウトしても周囲は余り反応してくれない。吃音を公表した後も、同じように仕事することになるが気が楽になる。
by osp_blog | 2020-10-02 00:00 | 例会報告