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例会報告2021.07.09 アサーション 

大阪吃音教室 例会報告
2021.07.09(金)「アサーションを使って コミュニケーション力を高める

 「アサーション」は日本語に適切な訳語がないので英語のまま使われている。近い日本語では「正当な主張をすること」、もう少し長い言い方だと「率直で適切な自己表現をすること」である。

〇 大阪吃音教室でアサーションに取り組むのはなぜか
 大阪吃音教室に初参加する人の多くが、吃音を治したいと思っている。吃音で困っている状況を詳しく話してもらうと、大事な場面で伝えたいことをうまく伝えられないという課題が、大半のケースで浮かび上がる。これこそ、アサーションの課題であり、吃音のままでも意思を適切に表明できれば、状況は大きく改善する。その一方、アサーションのスキルが身につかないままでは、仮にもし吃音が治ったとしても状況の本質は変わらない。ここに、大阪吃音教室でアサーションに取り組む意義がある。

〇 3つの自己表現
 「アサーション」は「率直で適切な自己表現をすること」である。自己表現は3つに分類できる。
(1) 非主張的な自己表現
 消極的、内向的。
 服従的(本音が分かりにくい)、自虐的、引っ込み思案。
 他人はOK、自分はOKでない。
 自己否定、卑屈。
 相手に認められたい。
(2) 攻撃的な自己表現
 攻撃的、無頓着、外向的。
 支配的、他罰的、出しゃばり。
 自分はOK、他人はOKでない。
 他者否定、尊大。
 相手を見下す。
(3) アサーティブな自己表現
 積極的、(内省を含めた)外向的。
 自立的(歩み寄る)、協調的、適切な、率直な。
 他人もOK、自分もOK。
 自他尊重、正直。
 自他を大切に。

〇 人はなぜアサーティブになれないのか
 日常生活の多くの場面で非主張的な自己表現をしてしまう人、つい非主張的な態度を取ってしまいがちな人には、次のような課題がある。
1. 自分の気持ちに気づいていない
2. 結果や周囲を気にしすぎる
3. 基本的人権への理解がない
4. 考え方がアサーティブではない
5. アサーションのスキルがない

 自分と相手とが何らかのやり取りをした後、アサーティブな自己表現ができていた場合には、その結果はどうあれ、わだかまりは残らない。何かモヤモヤしたり、心残りがある場合には、非主張的、または攻撃的な自己表現をしてしまっている。

〇 DESC(デスク)
 アサーションは、直面している場面でどう発言するのが適切か、セリフづくりまでをしてこそ真価を発揮する。自己主張が難しそうだと感じる場面で、相手に発言する内容を組み立てるとき、大きなヒントになるのが「DESK」の各項目だ。
・DESC(デスク)
 escribe(描写する) 状況を客観的、具体的に描写する。
 xpress(説明する)自分の気持ちや考えを表現する。
 pecify(特定する) 相手にして欲しいことを、具体的に伝える。
 hoose(選択する) 結果に対してどう対処するか、考えておく。
 この日の例会では、参加者にコミュニケーションで困った最近の具体的事例を話してもらい、参加者でどういう自己主張が可能だったかを話し合った。

〇 Iメッセージ
 「DESK」をヒントに具体的場面での発言内容を考えるに当たり、忘れてはならないのが「Iメッセージ」だ。これは、「私のメッセージ」というである。
 自己主張が難しいと感じるような場面では、「相手のこんな態度は許せない」とか、「相手はこうすべきだ」とか、「べき思考」が湧いてくることが多い。「べき思考」を前提にしてセリフを組み立てると、自覚していなくても攻撃的な自己主張になってしまう。自分が感じた感情も、相手にして欲しいことも、自分の感情として発言し、自分の願いとして表明することができる。伝え方を工夫する余地があるのだ。
 「Iメッセージ」を基盤に据えることで、うっかり攻撃的な自己主張をしてしまうのを避けることができる。また、「Iメッセージ」からの意思表明を繰り返すうちに、自分の発言が自分自身の本当の気持ちに近いものになって行く。

※参考書籍紹介
・大阪吃音教室 公式サイト『話すことが苦手な人のアサーション どもる人とのワークショップの記録』




by osp_blog | 2021-07-09 00:00 | 例会報告

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